WordCamp 男木島 2018 の実行委員長の西川伸一です。
WordCamp Ogijima 2018 にご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。また、すばらしいコンテンツを届けてくれたスピーカーのみなさん、資金面からサポートをしてくれたスポンサーの各社さま、ありがとうございました。
この記事では、準備の段階から実行委員会がどのようなことを考えて動いてきたのか、そのつもりや実際を絡めつつ、今後、他の地域でのWordCamp開催の参考になることを願いつつ、おもしろい読み物になるかもしれないし、なによりも、私が誇りに思っている実行委員会チームへの讃歌になるといいな、という気もちで、舞台裏の様子をまとめておきたいと思います。ちょっと長いのですが、舞台裏の様子と思って楽しく読んでください。
目次です。
- コンセプトメイキング
- チームビルディング
- セッションコンテンツ
- 家族と子ども
- ランチ給食
- 広報
- 制作物
- 安全対策
- 物流
- 動画
- 運営チームのみなさんへ
- 個人的な参考リンク
コンセプトメイキング
今回のコンセプトが生まれる文脈には、男木島という場所、僕個人の働き方、これまでの東京やバンコクや世界で出会った人たち、そして、男木島に移住をしてきてから出会った「自分で自分の仕事と生活と人生を切り開く」人たちからの影響がありました。
フリーランスでも組織人でも、意志をもつ個人が、勉強して、試して、失敗して、小さな成功を積み上げて、それを繰り返しながら少しずつ進んでいく、そういう生き方をする人たちが、楽しく、力強く、集まってつながるための1日。
WordCamp Ogijima 2018 開催概要より
この文章は、実行委員の人たちとのコンセプト会議の打ち合わせも踏まえてできあがったものです。男木島に人が来て、僕が今まで歩いてきた道を支えてきた WordPress の話ができるのであれば、今までに僕が出会った人たちが与えてくれた人生観や価値観を共有するためのコンセプトが打ち出せれば、と思ってのことです。
「一人ひとりの力。」というコピーは、何かをやりたいと思う人が、あるいは、どうしていいのか分からないけど何かが必要だと思う人が、実は他の人たちも、試して失敗して、ということを繰り返しながら進んでいるということを発見する場をイメージしています。一人ひとりが自分でやりとげることもあるだろうし、助け合うこともあるし、話を聞くだけでなぜか元気が出る、ということもあるでしょう。
今の時代のことを考えると、なんのために誰と何をするのか、これほど自由に考えて実践していける時代はありません。それはインターネットのおかげであるし、僕にとっては WordPress がなかったら今頃どうしていただろうと思うわけです。そう思うとき、あってくれてよかったものは、ソフトウェアとしての WordPressと、それを囲む人間の両方であり、その両者がきちんと伝わる日にしたいと思いました。
WordPress というソフトウェアがあって、それはとても便利で役に立つものです。WordPressは現在、世界の30%以上のウェブサイトで利用されています。この巨大なシェアを支えているのは、ソフトウェアとしての優秀さはもちろんですが、それだけではなくWordPressを使う人たちのコミュニティーです。はじめての人やWebの技術に詳しくない人たちにとっては、コミュニティーがあって、その助けを借りながら続けていけるということは、ソフトウェアの品質と同じくらい大事なことですし、開発を行う人たちにとっても、WordPressを利用する人たちと顔を合わせることができることは大きな価値となっています。
WordPressのコミュニティーには、いろんなことをやっている人たちがいて、楽しそうで、助けあっています。僕も、東京、バンコク、男木島、そしていろいろな旅先で、さんざんお世話になってきました。今回の WordCamp が、瀬戸内というこの美しい場所で、なにかに挑み前へ進もうとする人たちのコミュニティーができていくためのきっかけになれば幸いです。
英語では、Empower the smalls to go big! としました。同じ内容を言い換えたもので、基本的には同じことなのですが、実は英語でのコンセプト文章というのもありまして、日本語では詩的になりすぎて書けないや、という風景的な感じをそのまま書かせてもらっていました。
When we are here, on the shores of the internet ocean, knowing that somebody else, on the next pier, is also getting ready for her journey, we feel empowered. When we return to land to rest and relax, other friendly souls are waiting to share experiences and knowledge. And when we’re fortunate, they help us get back out on the water and wave us good luck. That is what this event is all about.
Empower the smalls to go big. から抜粋。
チームビルディング
コミュニティーという視点から考えていたことがもう一つ。このイベント自体を作り上げていく過程で、実行委員会が強くて楽しいチームになるということを大事にしていました。
この規模のイベントはどうしたって一人ではできないという現実的な理由はもちろんのことですが、実行委員会がこの地域のコミュニティーの核になり、また、各地域でそれぞれが活動していく中で、ゆるやかに連携できるような関係が築ければと思っていました。また、WordCamp はその運営チームの色がにじみ出て伝わるものですので、楽しそうでオープンな雰囲気があるチームであることは、WordCampの成功の鍵でもあったと思います。
メンバー探しのころ
今回のチームのベースとなったのはWordBench男木島です。僕(@shinichinN)と額賀さんが月に一度、男木島図書館でやっている勉強会で、普段は5名から10名くらいがゆるゆると集まっている場所です。ウェブサイトの開設・改善を手伝ってみたり、もくもくと作業をしてみたり、お茶会だけやったりしています。大変ゆるい会です。普段の参加者には、 WordCamp で大活躍したメンバーがいました。少ない人数でも地元が温まっていることは重要だと思います。
次に、近隣で WordPress を利用していたり勉強会を開催していたりする友人、知人に声をかけさせてもらいました。WordCamp Tokyo のコントリビューターデーで、たまたま一緒になった近隣の面々や、以前から訪ねてみたいと思っていた近所の WordBench の方々。そこに、イベントの半年前の1月15日に開催されたキックオフ・ミーティングの告知をみつけてくれた人たちや、ティザーサイト公開と同時に実施したメンバー募集に応募してくれた方々が加わります。その後、コンセプトが共有されたり、作業内容が明らかになるにつれて、メンバーが自分たちの信頼している人たちに声をかけてくれました。この他、僕の方からも、リアルキャンプ、WordCamp.org でのウェブサイト作り、食事、運転、音響などの課題のためにお声がけした方々も入って、全員が揃いました。
このように、少しずつ出来上がっていったチームでしたので、いくつかの工夫をしてみました。
情報共有とドキュメンテーション
ひとつは、チームに参加するためのドキュメントを整備したことです。たとえば、チームに参加しようとする人、あるいは作業中に迷子になった人のためのドキュメントや、プロジェクトが始まった時に作った西川の頭の中にあるものを全部出しましたドキュメントなどです。内部的には決まってるんだけど見えていないという暗黙知をできるだけ減らすというのを、特に初期の頃はがんばりました。
オンラインミーティングの工夫
また、1度だけのリアルで会うミーティングを除き、普段の会議はすべてZoomというオンライン会議用のアプリケーションを利用して実施していました。そのやり方は、時期によって変えていました。
最初の頃は、45分で終わる(ことを目標にした)会を毎週水曜日と日曜日の夜に全員が集まりました。予算・備品・制作物の一覧を作り、スケジュールを固め、ティザーサイトを公開し、だいたいの役割分担が見えてくるところまで週に2度のペースが続きます。その後、全体会議は曜日を問わず、10日、20日、30日の夜に2時間として、細かなところはチームごとの会議で進めるという形に移行し、最後まで続きました。Zoomの会議動画は録画ができるので、それをできるだけ残すのと、毎回議事録を作って共有するようにしていました。
特にはじめの頃にルールとしていたのは、一人でも初参加の人がいた場合には、全員が自己紹介をする時間をとったことです。すごく時間がかかることではありましたが、新しく入ってくる人には「私ってここにいていいのだな」というメッセージが届きます。同時に、迎え入れる人たちの中でも「このチームは、新しい人を歓迎することに時間を惜しまないんだ」という感覚が共有されたと思います。一人ひとりが居心地のよさを感じられるようにするために、多少のめんどうは受け入れていくという雰囲気は、WordCamp 男木島の運営全体にも表れていたと思います。
一方、オンライン会議での時間の使い方は、考えどころです。今回のようにふんだんに時間を使うと一人ひとりにとっての負担が大きくなり、会議中の待ちの時間が増えてしまいます。効率を考えればツリー型の組織を組んで、上から下へと必要な情報だけが流通するという形がよいはずです。実際、全体会議に頻繁に参加して多くの情報を把握できる人たちと、全体のことは見えないのでスポット的活躍を見せる人たちに分かれてしまった、というデメリットもありました。さらにすべての議題について話し合っていたため、2時間では収まらないことも多かったです。
会議を短くする、全員の時間をもっと尊重するということにもっと神経を使えばよかったというのは大きな反省です。
一方で、全員が全体を把握していることのメリットも多くありました。どのチームにいても誰が何について発言してもよいという雰囲気もあいまって、自分の持ち場での工夫で他のチームをサポートするといったことが多く起きましたし、ひとつのチーム内では最適だったことが、全体では矛盾してしまうということが、早い段階で発覚したりしました。仕事の量が偏っていることにお互いが気が付き合うということもあり、チームの文化も優しくて思いやり合うものになっていました。ピラミッド型ではなくフラットな組織だったことや、自由に発言してよい雰囲気があったことから、多様な視点からの自発的な提案もすごくたくさん出ていました。一度、リーダー会議という班長だけが集まる会議を設定することも考えましたが、最後まで実施はしなかったのは、正解だったかなと思っています。
情報共有の深さと、チームの雰囲気、一人ひとりの時間の使い方のうまい組み合わせ、こらのバランスかなぁ、と思います。
課題管理の Backlog とコミュニケーションの Slack、文書作成のGoogle Documents
課題の管理、情報の集約には Backlog を利用しました。特に長期間の調整が必要な課題での情報の蓄積と、担当者が明確になる細かなタスク(要件を伝えてスポットで手伝ってもらうような作業)での活用が目立ったように思います。
会議以外での連絡には Slack を使いました。誰がどのチームに参加してもよく、好きな時に出たり入ったりしていいですよ、ということをアナウンスしていたら、みんながいろんなチームに入ってくれました。一方、出ていく人はほとんどおらず、難しいなぁ、と思いました。アプリとの連携は、公式Twitterアカウントの取り込みと、Astroを通じたメールの共有くらいでした。
表組み作成と表計算、ブログ記事やメール、マニュアルの作成はGoogle Documentsで実施しました。提案機能、コメント機能が便利でした。
全体としては、ツールが足りないと思うことはなく、こなれた感じでよかったと思います。特に、Zoomの映像と音の快適さはメンバー間の距離をすごく縮めてくれたのが嬉しかったです。Skype や Google Hangout とはまったく違うと思いました。
問題としては、初めてのアプリばかり!という人たちもいて慣れてもらうのに負担がかかってしまったことと、Slack が便利すぎて文字情報でありながら同期的なコミュニケーションを要求するツールになってしまい、常にオンラインで作業できる人でないと情報を追うことができない状態になってしまったこと、そのことに気がつくのが遅れて、そのまま最後まで走ってしまったこと、です。
GW休みとオンライン飲み会
この他に、チームビルディングに効果があったと思うのは、ゴールデン・ウィークに一切の作業しない宣言をしてみんなで休んだことと、Zoomで実施したオンライン飲み会です。ゴールデン・ウィークは、チーム発足後3ヶ月、イベントまで2ヶ月というタイミングで、すでにかなりのタスク量が各人に発生しているタイミングではありました。こんな時に10日近く休んじゃって大丈夫か?という心配もありました。ですが、きちんと休んで遊んで、家族がいる人はきちんと家族と過ごすことはプラスになったと思います。すごい集中力でコミュニケーションしたり作業をしたりしていたので、一度離れることで見えることもあったと思います。タイミングが合えば、今後もやっていければいいな、と思いました。
オンライン飲み会は、このお休み期間中の定例会議を充てました。みんなお酒を用意して、よい雰囲気でした。オフラインで会ってお酒を飲むということができないので、重要な機会だったと思います。ここでも、Zoomが大活躍。
副実行委員長
今回のプロジェクト、副実行委員長だった額賀(福井)順子さんとの、ツートップ体制でした。役割分担としては、どーんと旗を振って全体を見つつ、チーム作りやお金や物品についてが私で、ビジュアルや制作物のリードや、チケットと参加者管理が額賀さん、その他のエリアは、各チームを2人でサポートという形でした。
WordCamp Ogijima 2018 のメインビジュアル、制作物、ウェブサイトなどのクオリティーはものすごく高いものでしたが、何を隠そう、私はクリエイティブに関してはまったく口を出さないという方針を貫き通しました。はじめに、「クリエイティブのディレクションは全部おまかせします!」という宣言をして、その時に「メインビジュアルは空が抜ける感じ」と言ったのが最後です(一度だけ、「メインビジュアルで飛んでいる鳥がウェブサイト上で動いたらかわいくない?」と言って華麗に却下されたということもありました)。あとは、載っている文字のチェックなどはもちろんやりましたが、何を作る、どう見えるべき、誰が作るといったすべてをお任せしていました。僕の仕事は「いいですね!最高すぎて嬉しいです!」と言い続けることに尽きました。ものすごく抽象的なテーマだったりコンセプトを、目に見える形に見事に、予想をはるかに上回って実現した手腕についての感想は「いいですね!最高すぎて嬉しいです!」です!
ふたりとも、以前にWordCampの実行委員長をやった経験があったため、すごい安心感がありました。何かの決定をする前に少しだけ話して確認してから決められるのが、一人だと面倒だったりちょっと自信がないときに助かります。額賀さんは、よそのWordCampのメンターもやっているので、WordCampのレギュレーションの確認なども話が速くて助かりました。
キャラクターの違いもちょうどよく、忙しかったらいずれかが出席してれば大丈夫だし、込み入った話になったら同じ島に住んでいるのでパパっと話せるしで、準備期間を通じて、本当にやりやすいコンビだったと思います。ありがとうございました。
スタープレイヤー紹介
さて、このイベントではチームの誰が欠けても違うイベントになったと思うのですが、その中でも特に、チームの誰もが認めるスターが何人も誕生しました。一部の人たちだけの言及になってしまうのは心苦しいですが、作業の量、コミットの具合、全体への影響という面ですごいコミットをした人を紹介しないというわけにはどうしてもいかないので、少しだけ紹介してハイライトしたいと思います。
村上さんは制作チームをリードしてくれました。時間の管理、お金の管理、人の管理。素晴らしいマネージャーでした。制作チームのミーティングはいつもいい感じで楽しそうだったし、みんなの仕事の仕方もプロフェッショナルだなぁと思って見ていたのですが、それも村上さんの人柄の温かさ、細かいところまで目のいきとどいたサポート、妥協がまったくない粘り強さのおかげだったのだと思います。また、インフォグラフィックや図解みたいなものをポッと作ってくれて、混乱した情報がスッキリする場面も多くありました(例: カンファレンス後の人の動きチャート)。キッズスペースのあり方についても、子育て中のお母さんの視点からコミットしてくれました。制作物は会場や当日の運用など、全体を理解していないといけないのですが、細かいところまで想定が行き届いていて本当に助かりました。その上での当日のセッション、トップバッターで会の方向づけをする大事なものでしたが、大木さんと一緒になんどもなんども打ち合わせを実施していて、とてもよいセッションをしてくれました。初心者の人たちに向けて内容面で大事なことを伝えつつ、同時に、「私たちは全力で歓迎されている」ということを聞く人が実感できるセッションだったと思います。
間嶋さんは、ひとことで言えば、制作の能力がすごく高い人でした。できあがったものが全部きれい(語彙が少なくてごめん)!それから、雑多な情報をとりまとめて、意味の通るように設計しなおすのが上手な人だと思いました。まさにデザイナーですね。アクセシビリティのセッションでも、僕がゴチャっとお願いした場面がありまして、自分でもちょっと無理があるようなディレクションかも・・・とモヤモヤしていたところ、後日、スパッとまとまったスライドでシンプルに解決してくれてびっくりしました。前述の通り、制作作業には僕はタッチをしていないので、まだまだ見えていない場面で、そういうことがたくさんあったのだろうと思っています。
ウェブ制作チームのおゆきさんは、WordCampサイトという、テーマもプラグインも触れず、cssとウィジェットなど、管理画面の中でしか作業ができないという手足を縛られた状況で、なんの制約も感じさせない制作と運用をしてくれました。リクエストに対する実現力の高さやスピードもさることながら、チームの中で起きていること(告知事項、チケット状況、セッションやスポンサーの情報の集まりなどなど)を踏まえて先回りをしていたり、そのときどきで必要になる情報が常に前面に出ているような工夫をしてくれていたことも助かりました。そういえばですが、告知時期、チケット販売期、参加者が旅程を考えたり荷造りしている期、参加者が移動している時、イベント中、イベント後、という時期によって、ウェブサイトのトップページはその時に必要なものが一番最初に出るようになっていたのですが、その情報の整理もお見事で丁寧でした。
広報班の三浦さん。ブログコンテンツのスケジュール管理と執筆者のアサイン、SNSでの情報の出し方で活躍していただきました。班の仕事柄、他の班との密なやりとりが必要なポジションで、かつ、いろいろな人たちの協力を取り付けてこなければならず、大変だったと思います。各班の状況を見て情報を各班を横断的に行き渡らせてくれました。みんなが忙しくしているなか、情報が外に向かってスムーズに流れていったのは三浦さんのおかげです。SNSもチームをまとめて、こまめに更新してくれました。また、初期の頃には、近隣地域の人たちへの情報発信とイベントの告知のために、ターゲットがいそうなカフェやコワーキングスペース、書店、雑貨屋さんなどの店舗にチラシやポストカード、ポスターを設置したのですが、そこでも各種の連絡で活躍していました。
当日オペレーションの河野さん。WordCamp Bangkok で僕がやったセッションの中の男木島での開催告知を聞いて、当日スタッフのつもりで連絡をくれたのが始まりでしたが、がっつり入っていただいて、前日と当日のスタッフ全員の役割を把握して連絡して遂行するというディレクターの役割を果たしてくれました。今回のイベントは、離島であるがゆえ、物流、食事、人の移動のいずれもアウトソーシングができなかったため、事前の想定範囲がものすごく広かったのですが、度重なるシミュレーションをしてくれて、大きなトラブルなくイベントが終えられました。
河野さんには、受付も担当してもらったのですが、熱中症のリスクや灯台キャンプ場への移動に伴う滑落や行方不明というリスクがあるために、その日島にいる人間全員の動きを把握するというミッションが課されており、参加者全員リストという謎の巨大スプレッドシートをもとに、複数の場所で行われた受付をガッチリ管理していただきました。ひとことで言えば、めっちゃ仕事ができる!
スポンサー係、兼、データ係の古里さん。第一に、今回のイベントのファンドレイジングの成功は古里さんの手腕によるところが大きいです。スポンサーの一覧を見ていただくと分かると思いますが、東京などのスポンサーもしてくれている各社さんに加えて、四国・山陽・山陰地方のプレイヤーの方々も賛同してくれています。
また、後半では、人とチケットの管理について大きな役割を果たしていただきました。Excel大好き、ということだったのですが、困った時に「古里さん、古里さん、当日の17時便で帰る人たちのうち、実行委員ではない人は何人ですか?」とか「バーベキューのみ参加とテント泊の人たちのうち、電話番号を聞けていない人のリストをください」というクエリを投げかけるとすごい速さでレスポンスを返してくれて助かりました。また、虫が嫌いということで「私、高松でパーティーします」と言ってくれて、そこから高松懇親会も公式でサポートしてやろう!ということになり、とてもよかったです。
リアルキャンプの設計・実施で活躍してくれた鎌田さんと覆面さん。今回の特徴のひとつであるバーベキュー懇親会とテント泊。コンセプトの実現のためにも、男木島の楽しさの演出のためにも重要な部分でしたが、同時に、イベント運営の複雑さを爆上げさせるものでもありました。
鎌田さんには、主にリスク・マネジメントの観点でお世話になりました。島全体が国立公園であるために行政への連絡も必要でしたし、地震や津波、突然の大雨が発生した場合の避難経路の確保や、どのようにしてその夜その場にいる人たち全員の生存確認をするのかといった、一切日の目を見なかった想定などもしていただきました。
覆面さん(増岡さん)には、イベント保険への加入、食品提供のための保健所との連絡、物品の高松での調達、氷屋さんへの連絡、バーベキュー用の露店設計と組み上げ、キャンプ場での人員配置など、裏方も裏方の作業を大量に粛々とこなしていただきました。この二人がいなかったら懇親会とテント泊、どうなっていたことでしょう。。。
男木島わぷーの生みの親であり、制作班とキャンプ係の中村恭子さん。制作班では、パンフレットを2種類、カンファレンス用と懇親会・テント泊用に制作してくれました。特筆したいのは、もぎりチケットシステムの考案と実施です。
もぎりチケットシステムがどういうものかというと、体育館や港などがある集落から、男木島灯台キャンプ場までの約40分の道、これが崖もあればイノシシが出る可能性もあり、暗闇の中の移動も含む、今回のイベントでの最大のリスクのひとつでした。その解決策として、移動者全員をIDで管理して、パンフレットからモギリとることができるチケットを作成し、移動開始時と終了時にもぎり取り、枚数を確認、もし、チケットの数が足りなければIDを把握して電話、連絡が取れなければ捜索に向かう、という方策だったのです。このアイディアが生まれた現場にいたかった!中村さんには、制作とキャンプの両チームに入っていたからこそできるアイディア出しと指摘をしてもらって、大変助かりました。キャンプ班としては、テントの組み立てから片付けなどの現場などでも大活躍をいただきました。そして、一見クールに見えながら、すごい情熱を持って取り組んでいることが徐々に伝わってきて、感動する場面もありました。イベントの直前に起きた豪雨災害への義援金募金も、彼女の気持ちや素早い動きで実現されていました。
男木島係という謎の班のリーダー大和さん。市役所、男木島コミュニティー(町役場的なもの)、雌雄島海運(フェリーめおんを運行している海運会社さん)、学校とのやりとりなど、地元の協力が必要なところを引き受けていただきました。また、前日のスピーカーや一部のスタッフのための食事の提供のために大量のビーガン料理を作ってくれました。人口が165人という離島での開催で、人間の数が少ないのだから調整が少ないものと思いきや、狭い分、きちんと整理をつけないといけないことがあるのです。
さて、この他にもキッズスペースや動画(セッション動画の最速アップや、すごいクオリティーのアフタームービー制作)、キーとなるビジュアル、スピーカーへの段取りのよい連絡、自作スクリーン、アイキャッチ画像制作、島内物流のための運転などなど、語りだせばキリがないところが多く心苦しいところはありつつ、割いていただいた時間の量という観点から一部に限って紹介させていただきました。
セッションコンテンツ
セッションとは、講演、スピーチのことで、前に人が出て話してもらうことを言いますが、今回はワントラック形式でした。つまり、同じ時間帯に複数の部屋で別々のセッションが行われるマルチトラックではなく、全員が同じひとつの場所で同じコンテンツを共有する形です。ワントラックのメリットは多くありました。
ひとつは、一連のセッションを順番に聞くことでストーリーが生まれ、メッセージが明確になることです。はじめに何を聞いてもらうべきなのか、どういう内容が伝わって終わるべきなのか、その間に、どのような刺激があるべきで、どういう順番であるべきなのかということを強く意識して設計することができました。
ふたつめは、全員が同じコンテンツを共有することによる一体感です。懇親会でもその後のSNSでも、「あの人のあの話」といった時に必ず伝わる安心感。
みっつめは、ひとつのセッションから他のセッションを参照することができたことです。はじめのセッションは、WordPressを知らないような初心者を想定していましたが、その中でお昼の〇〇さんのセッションで詳しくお話します、といった形で詳しい話を後に譲る、ということができました。マルチトラックでもできそうですが、聞いている人にとっては、「あぁ、あとで出てくるなら安心だな」と思ってもらえる流れができたのではないかと思います。
スピーカーの選び方
スピーカーの選び方については2つの側面から触れておきたいと思います。ひとつは、コンセプトに合致する内容であること、つまり、初心者からプロフェッショナルまでの多様な人たちで、仕事、生活、人生を切り開いていつつ、聞いている人たちをエンパワーする話ができる人たちの話。
つねづね思っているのですが、ノウハウの紹介であったり、具体的な技術の紹介を、参加者に持って帰ってもらうということは大事でありつつ、難しいことです。聞いた人の何パーセントがそれを持ち帰って活かすのか、話されたことの何パーセントがその人たちに伝わるのか。興味がなければ持ち帰らず、実践する人は少ないかもしれず、かつ大きな会場で言葉とスライドで発信されたことの多くの部分は聞いた人の記憶から抜け落ちがちです。ましてや今回は会場が体育館で、参加者がパソコンをカタカタするための机もありません。そういう会場での、今回のWordCampの趣旨を踏まえた結果、特定のコードの書き方、設定の方法、手法の話を詳しくする内容は意図的に少なくしました。ノウハウの話は、そういうことが可能であるという事実を示して、その可能性やヒントを伝えるに留めて、あとは実践者に頑張ってもらうという方向に思い切りふりました。
一方で強く打ち出したのは、生身の人間がそこに立って、自分の話を正直にプレゼンテーションして、客席に話しかけているということのインパクトです。どのセッションでも、人間らしさが前面に出て、しかも彼らは聞いている自分たちと同じようにどうにかこうにか考えながら進んでいるということが伝わってほしいという人選でした。
スピーカー選びの2つめの観点は、多様性とバランスです。スピーカーの住んでいる場所は、地元枠6人(男木島3、瀬戸内エリア3)、非地元枠6人(日本の他の場所4、海外2)となりました。男女比はちょうど半々。公募からのスピーチに至ったのは3セッションで、指名は6。技術的なレベルの観点では、パン屋兼猟師兼珈琲焙煎舎、編集者、デザイナーといった自分たちのプロフェッショナルな部分を持ちつつプログラミングについては詳しくないという人たちから、仕事でWordPress関連サービスを提供する人、さらにWordPress自体の開発に責任を持つ人までの幅広い人選となりました。
大木さんと村上さんのセッションは WordPress に触れたときの印象(可能性や自由についての考え方、ソフトウェアとの付き合い方など)を、自分たちの言葉で語ってもらう形でのプレゼンテーションでした。初めての人や初心者にとって技術的にも文化的にも必要なところが伝わりつつ、登壇者ふたりのスタンスも明示されていて、自分ごととして聞ける内容だったと思います。
Elmastudioの2人には自分たちのプロダクトを販売するまでの苦労、大事にしてきた価値観、生活と仕事と人生が結びついて生きていくために何を考えているのかということを話してもらえました。
If someone would have said to us in the very beginning: “You can do this, you are on the right path, just follow your dreams!” That would have helped us so much. Therefore we want to share our experiences and encourage others to believe in yourself and make your dreams come true.
About Us – Elmastudio から引用
上記の文章は「私たちは私たちの経験をシェアして、人を勇気づけたい。かつての自分たちが悩んでいたときに聞いていれば、大きな助けになったことを伝えたい」という内容で、彼らのAboutページに書かれているものです。企画時にこれを読んで、公募前から声をかけたところ、ちょうど来日の予定があったということで、運よく登壇してもらうことができました。
額賀(福井)順子さんの男木島図書館の話と、ダモンテ海笑さんのパン屋とWordPressの話は、ローカルでの実践者がどのようにWordPressやインターネットを楽しみながら、自分のありたい有り様を実現するためにどう活用しているのかという話。WordPress を使うことで生活や仕事がどう変わり得るのかが、それぞれの強さと一緒に伝わったとおもいます。
間嶋さんと齋木さんには、アクセシビリティの話を、コンテンツやデザイン、またコードやプロジェクトプランニングの観点からしてもらいました。具体的な制作の方法についてのセッションはアクセシビリティの話のみにして、伝えるということは、発信するということは、どういうことなのかがより明確になったのではないかと考えています。
Mike Schroder さんは、WordPressの永久コミッター(本体を改善するコードを追加する権利を持つ、数少ないメンバーの一人)です。彼がしてくれた話は、人には歴史があるけれども、いつも誰かが自分を引き上げてくれて、今の自分がある、という自分史を振り返りながら、だから今日も誰かと話をしてこれからの道を一緒に歩けるかもしれない誰かを探してごらん、という話でした。偶然ですが、Elmaさんたちの話がスタート地点からの視点だったのに対し、Mikeさんの話は現在から振り返って見る視点となっており、面白いと思いました。なによりも、人間Mikeさんを前面に出してくれてありがたかったです。
実践に近い話で、初心者にとって謎が多くなりがちなサーバーのことを谷口さんに話していただきました。プロがわかりやすく示してくれることで、ホスティング会社に頼っていいのだ、周辺のビジネスもコミュニティーの参加者として盛り上げてくれていることを、聞く人に示してくれたと思います。
さいごの高野さんと高橋さんには、WordPressの最大値を示すことで、どこまででもいけるという感覚を聞く人に渡していただきました。ここまでの話を聞いて、よしじゃあ自分も何かをやってみようと思うとき、WordPress を使えばここまでできるのだということを知ってもらうことで、やりたいことの幅が広がるのではないかと思うのです。そのために、国内外の事例を紹介していただきまして、締めとしていただきました。
すべてのセッションとその時に使われたスライドは、セッションページで見ることができますので、興味がある方はどうぞ。
家族と子ども
今回、家族での参加が大歓迎でした。子どもたちがとても楽しそうにしていて、子ども連れで来た人たちからも、大変だったところもあったけれども参加できてよかったという声をもらっています。
実行委員会の目線から見ると2つの指摘ができると思います。
ひとつめは、キッズスペースの確保と一時預かりの体制です。会場から歩いてすぐのところに、キッズスペースを用意し、事前申し込みの上での一時預かりも利用可能でした。当日は友人である保育士さんとその同僚の方、合わせて3名に島に来ていただき、朝10時からカンファレンス終了時間である午後4時半まで子どもたちを見ていただきました。
はじめはキッズスペースを提供してそこにスタッフが交代で常駐することで対応をし、保護者の同席のもとで休憩できるスペースとして計画を始めましたのですが、「それでは結局イベントに参加できず、ずっとキッズスペースにいるだけの人が出てしまう」という声が実行委員から挙がり、その通りなので思い切って預かろうということになりました。今回の子どもたちの数は、チケット販売ベースで、一時預かりを利用した方が9家族の12人の子どもたち、一時預かりを利用しなかった方が6家族の8名の子どもたちで、合計すると14家族の20名でした(1家族、預ける子と預けない子が両方いた家族があったので14家族)。
保険、免責、承諾書などの事務的な作業の多さや、怪我などのリスクが心配されましたが、キッズスペースチームの活躍で、無事に乗り越えることができました。できあがった書類などは、なんらかの形で共有して、今後の他のイベントに活かされるようにしたいと思っています。
家族と子どもについて、ふたつめに触れたいポイントは、彼らがいてくれることのイベントにとっての重要性です。仕事、生活、人生についての話をする中で、子どもがウロウロしていて楽しそうに親の背中を見たり一緒に活動したりできるというのは、外せないことだと思います。
実行委員の中にも、私を含めて、家族がいて、子どもがいるメンバーが何人かいて、オンライン会議中も顔が見えていたりうしろでわーわー言っていたりしていました。そういう状況をニコニコしながら見つつ、これは大変そうだなと思いながら、そういう人の仕事が見事だったりすると、子育てしながら仕事ができるということは重要だなと、実行委員みんなが思いなおした準備期間でした。実行委員会のその空気感が、子どもと一緒にやってくる参加者やスピーカーを迎えるための雰囲気にも影響することになったのだと思います。子育てしている人を歓迎するイベントを作るのに一番いいのは、子育てをしている人を含むチームとして機能する環境を整えることなのかもしれません。
それと、副実行委員長の夫である男木島係の福井大和さんが言っていましたが、「なんだかんだで、WordPressのコミュニティーを支えているのは、うしろでバックアップしている俺たち家族だぜ」という名言を付記させていただきます。この言葉には頷く方も多いと思います。いつもみなさん、ありがとうございます。我が家の真理子さん、子どもたちもいつもありがとう!
ランチ給食
今回は、すべての人に無料でランチを提供しました。
島内には、250名が食事をできる場所はないこと、そして、男木島らしい何かを食べてもらいたいということから、すべての食事をダモンテ商会にお願いして作ってもらうことになりました。
はじめ、200名分をお願いしていたのですが、人数を増やしたいという相談をしに行ったところ「僕がボトルネックなのであればやります。200名も250名も、こうなったら変わらないでしょ!」ということで、変わらないとはまったく思いませんが、ありがとうございました。
海笑さんには、スピーカーもお願いして、当日は灯台まで子どものいる家族を送り届ける車の運転までお願いして、大変お世話になりました。
広報
広報チームの仕事は、アウトリーチ、PR、ブログやSNSを通じたコミュニケーションの3本柱でした。
アウトリーチとPR、どうやって近所の人たちに多く来てもらうか
チケット販売にまつわる不安は、枚数の少なさと、参加者のバランスでした。少ないことは制約があるから仕方がないので、では、どうやって地元(高松、香川、四国、瀬戸内地方)の人たちにWordCampのことを知ってもらうのかという課題です。普段からつながりを持っていて、WordCampの情報が流通することが分かっている人たちについては、早い時期から知ってもらって話題にしてもらうことはできましたが、近隣の人たちには、はじめの頃、まったくと行っていいほど情報が届いていませんでした。ちょどよいバランスをとることで、コミュニティーにすでにいる人たちが、新しい人たちを迎える形を作りたかったのです。
そこでとられた対策のひとつが、ポスターとポストカード、フライヤーをWordCampに興味を持ちそうな人がいそうな場所に送る、というもの。大学、役所、カフェ、書店、ゲストハウス、コワーキングスペース、専門学校、ギャラリー、雑貨屋など、四国と瀬戸内エリアに暮らす実行委員メンバーが思い立つ場所に、電話などで連絡をして設置の許可をいただいてから郵送するという作業を行いました。
地元へ情報を広めるということでは、西川真理子さんがプレスリリースを作成して地元の新聞社やウェブメディアへの連絡してくれました。いくつかの新聞社からの連絡があり、無事掲載をしていただきました。新聞を見た方からの電話も2本ありましたし、当日、話をすることができた参加者の方の中には、チラシを見て来た人もいました。
地元へのアプローチということで、やってみればよかったと思ったのは、WordCamp Osaka 2018 がやっていたFacebookでの地域と興味関心で絞り込みをかけた広告です。これは思いつきませんでした。
ブログやSNSでのコミュニケーション
ブログやSNSでのコミュニケーションについては、かなり気を使って情報を出していきました。攻めの部分としては、ビジュアルやリアルキャンプなどの特徴的なところをはじめからガンガン出すこと、守りとしては伝わらなければ実行委員や参加者が後々困ることをきっちり伝えるということ、空気感としては人間の顔が見えるようなコミュニケーションであること、だったと思います。
SNSは、TwitterとFacebookに加えて、#ogijima #男木島といったハッシュタグからの露出を狙うために、Instagramもやってみました。それぞれのメディアでうまい形で結果が出せたように思います。今後の課題になるのは、Facebookでのスポンサー紹介です。今回、30社以上のスポンサー協力をいただいていたので、その分Facebookページでの投稿が増えたのですが、いいね!もつきにくく、結果、他の情報がフォローしいる人に届きにくくなり、一周回って、スポンサー紹介投稿もユーザーに届かない、という誰も得しない状況になってしまいました。もっと別の形での特典を考えるべきだと思います。
2つの懇親会とテント泊
バーベキューをしながらキャンプファイヤーしてテントに泊まろう!とは、はじめからみんなでワクワクしていた企画でした。
日が沈んでいくところで火を囲みつつお酒を飲んで、行き交う船がいて、灯台があるというのは、今回のコンセプトにもぴったりあっていたと思います。灯台は船から見たときに位置や方向を示すためのものですが、そのふもとにいると道を示しているように見えるので不思議です。
バーベキュー懇親会とテント泊の実現のためには、たくさんのことが必要でした。備品が10倍になる、運搬が必要、保健所や行政、保険屋さんへの連絡、露店の設営、草の伸び具合の確認、肉や野菜などの生ものの管理、露店の設営、移動のリスク、暗いというリスクなどなど。リアルキャンプ班はもちろんのことですが、チケット担当、当日スタッフ班も半分以上の時間をこうしたことに使っていたと思います。
本当に難しかったのは、一度の練習はしてみたものの、120人が現場にいたときにどうなるのか、なかなか想像がつかないということだったと思います。そんななかで、備品やリスクのヘッジをマックスまで考えて、法律的にもすべてきちんと手続きを踏まえて進めてくれて、大きな事故もなく、平和な時間がきちんと流れるように終わることができて、キャンプ班も最高でした。
(上のギャラリーの写真はすべて chiharu nagatomi 撮影)
高松懇親会は、虫が苦手、キャンプもなぁ、という古里さんをはじめとする実行委員チームがやってくれました。はじめは、誰かが非公式でやってくれればなぁ、と思っていたのですが、意外なことに実行委員の中にもそちらに参加したいという人たちがいてくれたので、高松懇親会も公式のものとして運用することになりました。試みとして、懇親会のみ参加も可能にしてみました。こちらは、おしゃれフードにLT、そしてなにより冷房完備。二次会にも流れられるということで、楽しい時間だったようです。
(上のギャラリーの写真はすべて Atsuko Suzuki 撮影)
つぎの制作物の部分、副実行委員長にバトンタッチします。
制作物
副実行委員長の額賀です。今回の WordCamp 男木島の制作物、皆さまいかがでしたか?
WordCamp 男木島では、今回「制作係」というチームで一元化してクリエイティブ部分を担っていました。
構成としては制作係の中に印刷物班と Web 班があって、Web 班は広報係とも協力して動いている形です。
今回、私は制作物の全体ディレクションをさせていただきました。実はデザイナーなのに WordCamp のデザインにがっつり関わるのは初めてで、とても楽しかったです。
ここまででも制作物についてはいくつか記事も出ているので、今回はコンセプト部分や、制作のやり方などを残しておこうと思います。
メインビジュアルについて
実行委員長とはかなり初期の段階からビジュアルどうする?という話をしていました。「空が抜けて見えるようなイメージ」という言葉を最初にもらっていて、今回は直球ど真ん中に「島感」を出す、男木島の雰囲気を伝えるということを考えていました。
その中で大きなポイントとなったのはオビカカズミさんのイラストです。実は初期プランでは写真をメインに使おうかと思っていました。日本の最近の WordCamp では写真がメインに使われるということがなかったこと(そう思っていたら6月に開催された WordCamp 大阪が動画をメインビジュアルにされていましたが、初期プラン時のことなので、まだ見えていなかったのです)、男木島をまっすぐに伝えるのには写真も良いのではないかと思ったからです。
オビカさんは WordBench 男木島にも参加してくださっていたイラストレーターさんで、実行委員に応募してくださった時に希望されていたのは実は給食係でした…!
オビカさんの給食も魅力だけれど、男木島のことをよく知っているオビカさんにはぜひメインビジュアルを描いていただけないだろうか、と、そこまで「写真にしようか」という話を全部無かったことにして「オビカさんにお願いしたいです」と実行委員長に話した結果、「いいですね。お任せします。」といただいた結果が今回のメインビジュアルです。
WordCampの準備というのは非常に時間がかかるもので、どこまでの負担を実行委員にかけて良いものか、ずっと探り探りでした。メインビジュアルについてもティザーと本サイトと2枚描いてもらっても良いものか、という中、せっかくだからちゃんとワクワク感を出すために2枚描きましょうと言ってくださったのはオビカさんです。
瀬戸内の夜明けから、パッと明るい男木島へ。
わくわくしていただけたでしょうか?
メインビジュアルのイラストのことについてはオビカさんも記事を書いてくださっています。よろしければイラストのこと記事もどうぞ。
デザインルールの策定
ティザーサイト、本サイトと移行していく中で、制作係の基準となるものを作ろうと、WordCamp 男木島のデザインのトーンガイドを作成しました。たくさんの人が一つのプロジェクトのデザインを扱う時に完成のラインを揃えるために作ったものです。
これはGitHubでも公開しています。
メインビジュアル、ロゴの使い方、デザイン上使うフォントやカラーなどを決めています。
このガイドラインを作ることによって、誰がデザインを担っても一定のラインに揃うということができました。
今回 WordCamp 男木島のデザインで意識していたのは「温度を伝える」ということでした。その温度とは何かというと、「この WordCamp は人の手で作られている」というようなものです。なので、オビカさんのイラストもそうなのですが、ロゴタイプも手描きの雰囲気のあるものにしています。
手描きのイメージはクオリティラインに気をつけないと、ちょっとダサくなっちゃう時もあるのですが、そこを制作係の底力というか、全体的に村上さんがマネージャーを、間嶋さんがクオリティラインを守る役割を果たしてくれていました。
グッズ
全グッズの紹介はこちらの記事「WordCamp Ogijima オリジナルグッズのご紹介!」でおこなわれています。
グッズを何を作るかの提案は、特に係があったわけではなく、主に全体会議の中から生まれていきました。
基本的には「必要とされるものを楽しんで作る」というスタンスです。
暑さ対策が必要なので、うちわとタオル。朝の時間に余裕があるのでその時間に遊べるトランプ。実は最初はトートバッグではなくペットボトルホルダーを作る予定だったのですが(どこまでも暑さ対策)、最終的には「靴を脱がないといけないので靴が入るくらいのバッグの方が便利なのでは」とトートバッグになりました。
制作係は制作係としてのオンラインミーティングもちょこちょこあったのですが、基本的に Slack のチャンネルは誰でも入れるもので、また制作係の中でも他の係も担ってくれている人もいてそこから生まれて来るものもありました。
目立つものでいうと、男木島懇親会・テント泊用のパンフレット(中村さん)だったり、めおん横断幕(大和さん河野さん入山さん)だったりします。
ここは非常に難しいところで、そうやって全員が関わることができる体制により会議の時間が長くなり負担が大きくなったところもあり、しかしグッズやおもてなしの体制として喜ばれるものが生まれる形にもなったと思っています。
私が以前やってきた WordCamp 実行委員経験でいうと、各チームでのミーティングがそれぞれ定期的にあり、全体のミーティングではその各チームのリーダーによる進捗の報告があるという形が多く、リアルに集まる場合は午前中には各チームミーティング、午後からは全体ミーティングとしていたりもしたのですが、それはそれで負担も大きかったりしました。どういう形がベストなのかは、時と場合によって変わって行くことでもあり、そこの模索を続けていくのはずっと必要なのかもしれません。
Tシャツ
Tシャツの色も基本はトーンガイドに合わせているのですが、一番数が多くなる(場の雰囲気を作る)スタッフTシャツは敢えて青にはしませんでした。
これは青にすると瀬戸内国際芸術祭のスタッフTシャツとかぶり、WordCamp の参加者さん以外へややこしいことになるかもしれない、という理由。
そして、私たちが愛するめおんのカラーを使わせてもらうのがいいのではないか、となったからです。スポンサーとスピーカーの空と海の色のTシャツ、そこで思う存分働かせてもらう実行委員の赤。
Tシャツに関しては割とわがままを言った気がします…ごめんなさい。男木島を背負うバックプリントに、crew の文字。めおんだし、私たち全員が WordCamp の乗組員だよねという気持ち。
そしてせっかくだからキッズTシャツも作ろう。
Tシャツのインクは手描きの風合いを残したくて、大和さんのアドバイスもありラバーではなくハーフラバー(染み込みとラバーが半々のインク)を使っています。
制作物請負システム
Webでの制作物もグッズも、最初に制作係でミーティングをして割り振りした後で作らなければいけないものが出てきた際には、Slack でできる人がいないか探す声かけ、且つ作れそうな人に個別で声かけをおこなったりしていました。後半作らなければいけないものが増えてきた際には広報係から人をリクルーティングして制作係にまわってもらったりしました(鍋島さん、さおりんさん、高倉さん)。
気をつけていたのは「できない時はできないと言えるようにする」ということだったのですが、どうだったでしょうか?私自身は3月末など仕事が忙しかった際には「この分、誰か代わって」とお願いしたりしていました。
またドキュメントが多めになっていきがちなので制作の作らなきゃいけないものは一つのスプレッドシートにまとめてそれを見たらわかるというようにしていました。Backlog でタスク管理をしながら、Slack でやりとり、ファイル置き場に関しては Backlog のファイルを使っていたのですが、できるだけ GitHub でも公開するようにしています。Github に関しては使ったことのある人が少なかったので、一度 GitHub 講習会をオンラインで開きました。
Web
制作の中でいうと、Web 班の痒いところに手がとどく感は素晴らしかったです。おゆきさんはティザーから本サイトへの移行時にさっとワイヤーフレームを作ってくれたり、チケットの売り切れ時にどのような表示をするかなど、スピードが求められる対応の中でも、きっちり世界観を壊さずうまく手が回りきらないところをカバーしてくれていました。また特に慣れない初期はうまく北島さんが技術的な部分をフォローしてくださっていたように思います。
サイトが1週間前、3日前、当日の朝、当日カンファレンス中と、トップページの表示が変わっていたのはご存知でしょうか?
発案は実行委員長なのですが、必要なタイミングで、情報が必要な人に届くようにという気配りをあのタイミングですることができたのはおゆきさんがしっかりとサイトの管理をしてくださっていたからです。
サイトのWeb デザインは私がおこなったのですが、各下層ページについては制作係で山本さんを中心に持ってくださっていました。山本さんは今回フォローの人で、ちょっと手が回らないというところを多く持ってくださいました。
例えば今回、ブログ記事にはOGP画像(Twitter や Facebook で投稿した時に画像が出るようにする)というのをこまめに作っていたのですが、間嶋さんや山本さんが多く作ってくださっていました。どれも WordCamp 男木島の世界観を伝えるのに効いていませんでしたか?
ちなみに私は私が作った OGP 画像がちゃんと好きでもあります。
入山さんがFacebookやTwitterのカバーをクオリティの高いものをポンとだしてくださったり、Webではないのですがタオルのデザインも大西ゆみさんが出してくれたものがほぼ一発で通ったりと、全体的に本当にみんな頑張ってくれていて、かつ安心できるチームでした。
また今回は英訳されるコンテンツが非常に多かったです。それは男木島という場所で開催するにあたって注意事項が多かったということもあるのですが、これも「あらゆる人に届けよう」という意識の一つの表れでもありました。特に最後の方のコンテンツに関しては日本語の下書きができるのもギリギリだったりした中、会計もしてくれている真理子さんと実行委員長の西川さんが大量の英訳をしてくださっていたことも記しておきます。
細かいところを「ま、いいや」とするのもボランティアの集まりとしては大事と思っているのですが、今回はそこを丁寧に丁寧に諦めずにすることによって届いたものがある、と感じています。
会場
会場の装飾でパッと目に入ったのは青と黄色のガーランドではないかと思います。このガーランド、「作るかどうかは10日前に決めましょう」となっていました。なくても WordCamp 自体は成り立つからです。ガーランドを作る時間が取れるかどうか、それを作ることがベストなのか?そこを「作ることに決めました」とする底力が今回の実行委委員にはありました。
そして、あちこちに貼られたサイン、黒板に書かれたハッシュタグ。これも必要な情報を必要な人に届けるという気持ちから細やかに作られたものでした。
またスピーカーさんへスライド制作のチェックポイント資料なども縁の下の力持ち的役割を果たしています。
制作物の話まとめ
会場の装飾まで含めてこれらのものは全て、トーンガイドに沿って作られたものでした。「神は細部に宿る」という言葉がありますが、まさに一人ひとりが諦めず丁寧に、参加者さんのことや WordCamp のことを考えて作った結果が現れていると思っています。
実行委員長の西川さんが「僕は制作物については一切タッチせず”最高ですね”と言い続けるだけでした」というようなことを仰ってくださるのですが、その最高ですねと言い続けてくれる信頼が制作係のモチベーションともなっていたように感じています。
では、制作物に関しての話を終わり、実行委員長からの話へまたバトンタッチさせていただきます。
戻ってきました。実行委員長です。
リスク・安全対策
今回のイベント運営上で行った安全対策は以下の分野でした。
- 台風や大雨、災害への対応
- 暑さ対策
- 食中毒の防止
- 看護師さん
- 灯台への行き帰りのリスク対応
- チケットトラブル
- 保険
台風や大雨、災害への対応
開催時期には、梅雨明けで台風が少ない時期を選びましたが、実際には、前週に豪雨に見舞われました。その影響で、灯台への道の一部で土砂崩れが起こり、車での進入はもちろん、イベントとして徒歩で灯台へ辿り着くこともできない状況となりました。福井大和さんによる、関係各所への調整、行政とのやりとりや、当時の島内のリソースの幸運な状況が重なって、直前に解消されることになりました。
さて、台風などの自然災害時への対応としては、事前に、2つのキャンセルのシナリオがありました。ひとつめはイベント自体のキャンセルで、これは船が動かないレベルの天候不順を想定したものです。台風や豪雨、強風などの可能性、また、7月にはほぼありませんが、霧の影響でフェリーが止まることもありえたので、参加者への中止の連絡スケジュールや手順を整えていました。
もうひとつは、イベントは実施するもののバーベキュー懇親会とテント泊を中止するケースで、こちらのほうが運営チームとしては悩みが深かったです。特にテント泊を予定していた90名は宿泊する場所がなくなり、また、高松へ戻ったとしても、ホテルはもう部屋がないというような状況でした。緊急避難的で、かつ楽しい解決策として、懇親会とテント泊のメンバーには高松側にあるスーパー銭湯での飲食と宿泊を案内することになっていました。
さいごに、イベントの実施中に災害が発生した場合。警察、消防、病院などが男木島にはまったくないところに250人がいるということを踏まえて、特に、キャンプ場での対応については、とりあえず全員で生き残るための避難経路の確認、人員点呼の体制が整備されました。
暑さ対策
暑さ対策は、イベントの準備当初から大きなトピックとなっていました。7月中旬の男木島で、冷房のない体育館に200人(最終的には人を増やして245人)が一堂に会して、日中をずっとそこで過ごすというのは、安全な状態なのかをずっと検証していました。あるいは、安全と思える人数にチケットの枚数を抑えた、とも言えます。
気温を下げる方法について、大型の冷房装置のレンタルや業者対応、冷風機の購入、ミスト、プールの設置、氷タオル、大型扇風機などを検討しました。気温が上がった時期に入って実施した実験を踏まえた結論は、打ち水を日陰の側で行い、気温の下がった空気を大きなドアから入れるという方法です。イベントの後半では、大型扇風機の風を直接人に当てる、という作戦に途中から変更されました。
水分補給については、経口補水液を含むペットボトル飲料を、当日の全員用に1000本、前日の準備スタッフ用200本を用意して、両日合わせて76貫(285kg)の氷で冷やして提供することに。バーベキュー懇親会とキッズスペースでの飲みものは、この数とは別に用意していました。終わってみると、だいぶあまりましたが「おひとりさま3本まで」などの制限をすることなく、とにかく飲みたいだけ飲めるという状況にしたかったので、よしとするところです。
配布グッズについては、うちわ、タオルが暑さ対策に利用できるものとして全員に配られました。デザインもすてきでしたが、機能と見た目の両方でいいものを作る選択をしてくれた制作班に感謝です。それと、トートバッグも配布されましたが、これも当初はペットボトルホルダーにする案で進行していたことを付記させていただきます。暑さ対策について、実行委員が一番安心できたのは、当日来てくれた看護師さんの存在でした。
食中毒の防止
お昼ご飯とバーベキュー懇親会の食事はすべて実行委員が用意することになっていましたので、暑いさなか、食中毒が出ないように気が配られました。お昼ご飯はダモンテ商会さんにお願いをして、直前に完成していただいて、急いで運びました。涼しさのあるご飯でとてもよかったです。バーベキュー懇親会の肉、野菜などは、レンタカー屋さんで借りた保冷車を港に駐車して電源をとって冷やし続け、食べる直前にキャンプ場まで車で運びました。
バーベキュー懇親会でのお肉などの提供については、チケットを販売していたため、キャンプ班にて保健所とのやりとりをしていただきました。はじめは食肉の移動販売としての申請に向けて動いてくれましたが、今回のケースでは許可が下りないことが分かり、露店を設営して焼いたものを販売するという、露店営業許可の申請となりました。
私個人としてはお肉を自分で焼いて自分で食べるという形について多少のこだわりがあったのですが、キャンプ班からバシッとした提言を受けまして、最も安全でリスクがない方法が選択されました。結果、参加者同士で話をする時間も増えて、本当によかったです。暑いなか、露店の中でお肉を焼き続けてくれたみなさん、ありがとうございました。
看護師さん
今回、参加者にも、実行委員会にも絶大なる安心感を与えてくれたのが看護師さんの存在です。主に暑さ対策の話をしていたときから、どなたか来てくれないかと思っていたのですが、中井裕子さんが参加してくれることになりました。幸いなことに、カンファレンス中には熱中症をはじめとしたトラブルはありませんでしたが、キャンプ場でお一人体調を崩された方が出て、プロとしての対応に感謝でしたし、なにより、病院もない離島でのイベントで、いてくれるということに私たちがどれだけ安心していたか。シフトの調整もしていただいて来ていただいて、本当にありがとうございました。
灯台への行き帰り
会場となっている体育館から男木島灯台キャンプ場までの道のりは、2kmの山の中を通る道でした。熱中症のリスクがあり、可能性は低いものの、転倒による怪我や最悪の想定として崖からの滑落も想定されました。普段、一般の観光客の方々が毎日徒歩で行き帰りをしていて大きな事故もないのですが、子どもたちを含む120人移動なので、心配していました。
対策としては、事前の広報活動で「あんまりなめてくるとマズイですよ」ということをお伝えして、ハイヒールやビーチサンダルでの来場者がないようにしたり、大荷物を持った人の負担を軽減するために「灯台行き荷物便」というサービスを用意しました。
人数確認の体制としては、キャンプ場へ移動する人たち全員の名前と連絡先を把握したうえで連番のIDをふり、そのIDをひとつひとつ書き込んだBBQ+キャンプ専用のパンフレットを渡して、移動の出発時と到着時に、パンフレットの一部をもぎりとることになりました。
一人の迷子も怪我もなく、無事に終えることができてよかったです。
チケットトラブル
安全対策と重なるのですが、今回の特徴として、病院がなく、熱中症のリスクがあり、キャンプ場への移動や宿泊を含んでいたため、誘導の方法や連絡先の把握、保険の手配などに気を配りました。そのため、チケットを購入していない人が、カンファレンスやキャンプに来てしまうということをリスクとして想定していました。事前の予防策として、ウェブサイトでの告知時に、チケットがない場合には参加できないということをはっきりと書くなどしておりましたが、今回は、2名、このケースに該当するトラブルがあり、男木島の場合、帰っていただいたとしても、食事や宿泊場所がなく、帰された方も途方にくれてしまうのではないかということもあり、チケット代金を受け取って参加していただく対応となりました。分単位で売り切れるチケットであったため、実行委員の各メンバーも友人知人からのチケット問い合わせに対して、お詫びをしながら断ってきていただけに、また、安全の対策を万全にしていただけに残念なできごとでしたが、ちょっと防ぎようがない感じがしています。実行委員会としての対応の方法が正しかったのかどうか、まだ考え中です。
保険
世界中で行われるWordCampはすべて、WPCS (WordPress Community Support) というPBC(営利活動をしてもよい慈善団体というアメリカの法人格)によってかけられた保険でカバーされているのですが、説明のドキュメントが全部英語で、全体を理解する自信がなかったため、また実際に何かが起きたときの対応が面倒臭すぎるため、スタッフで責任を持って対応できる保険に入ることにしました。通常のイベント保険と、宿泊者のための保険の二種類があり、後者は電話番号が必要なものでした。
物流
男木島にはコンビニやスーパーはないため、すべての備品は事前に購入してどこかに置いておき、必要な時に必要な場所に運んでおく必要がありました。私の自宅、男木島図書館、倉庫などの一時的な荷物置き場にものを保管しておき、前々日と前日に、ものを運びます。
また、当日も氷、ランチ、灯台にいく参加者の荷物、冷やしておいた食べ物、複数の場所で使うことになっている備品を車であちこち運ぶ必要がありましたので、合計6台の車の動きの計画を立てて、それぞれに運転手と運び手、載っているべき備品をリストして、それに従って運用を行いました。これが地味に大変で、灯台キャンプ場への道は道が狭くて運転ができる人員が限られていたりして、人食いライオンと一緒に、限られたボートで、両岸と船の上で人よりもライオンが多くならないようにしながら全員で渡り切るゲームを解いている気持ちになりました。
動画
今回の動画チームはとても強力でした。セッション動画を担当した林さんと、アフタームービーを担当した井上さんの2人組。セッション動画とは、WordCampで行われた講演などをWordPress.tvにアップして、当日会場にいなかった人たちを含むすべての人たちにコンテンツをシェアする仕組みのことです。林さんは他のWordCampのコントリビューターデイで、WordPress.tvに上がっている動画の字幕つけや翻訳作業をリードしている方ですが、今回は、実行委員として参加してくれて、イベント終了の翌日には動画の編集とアップロードを済ませてくれました。すべての動画はセッション動画をリストしたこちらの記事でみることができます。
井上さんは岡山からの参加で、アフタームービーという、海外ではちょこちょこ見るものの、国内では公式に用意するのは初めてとなる動画を作ってくれました。
アフタームービー、いつかやってみたいなぁと思っていて、今回実現するにいたり、最高の気もちです。
運営チームのみなさんへ
実行委員メンバーへのメッセージで締めたいと思います。
スタッフのみなさんには何度か伝えさせていただいたのですが、あらためて。今回のイベントで僕が誇りに思うことは、運営のチームのみなさんの存在です。お互いのことを考えつつ、コンセプトを実現するために、時間を惜しまず動いて、クオリティーの高いものができたと思います。感想のブログもたくさん書かれていて、いろいろなことを考えた人たちが多かったのも嬉しいことです。誰かの頭の中や気もちに、プラスの何かを残すということは、人間ができることのうちで、もっとも美しいことのひとつです。このチームでそれができたことは、揃ったメンバーの面々やチームの雰囲気を考えると、当然のような気もするし、なによりも嬉しいです。本当に気もちのいい人たちが集まったなぁ、と思っています。これからも友達でいましょう!
さて、開催が終わってずっと考えていたのですが、僕がこのイベントを通して成長できたこと、得たものとはなにかといえば、リーダーシップとはなんだろうか?ということを考え続ける時間をもらって、つぎへのステップを考えられるようになったということです。一人ではできないことも、一人ひとりの力が合わさればできる。そうやってできることがもっとたくさんあるのではないか、そういう場所で自分にできることが、たくさんあるんじゃないか、と思わせていただくことができました。感謝しています。ありがとうございました。
実行委員の気もちの中には、それぞれもっとできたかもと思うことや、後悔していることもあるかもしれません。僕もいくつかあります。ですが、一度振り返ったら、次のことへ向かって、今回のイベントから受け取ることができたものがきっとあると思うので、それをたずさえて、どこかに進んでもらいたいなと思っています。一緒に仕事をする人やプロジェクトをやっていく人も出てくるかもしれませんね。そうではなくても、お互いの近況を知ることで、お互いに勇気づけられながら進んでいくことができるんじゃないかと思っています。
個人的な参考リンク
長くなりました。ここまで読んでくれた人はありがとうございました(いるんだろうか。。。)。さいごに、個人的なこれまでのWordPressのコミュニティー運営について考えてきたアウトプットリストを、恥ずかしいところもありますが紹介して終わりにしたいと思います。
「2018年7月15日開催のWordCamp 男木島、実行委員長から裏話を。 – Capital P」。こちらの記事は、WordCamp Ogijima 2018 プロジェクトの開始から見てちょうど折り返しの時に書いた記事です。
「タイでWordPress Meetupを開催しながら考えてきたこと – Shinichi Nishikawa’s」。地域のコミュニティーをやるって、いったいなんのためにそんなことをしているのかということについて、一番悩んでいた頃に書いた記事です。自分が育ててもらった東京のことや、バンコクで堂々巡りに考えていたのこと、その時に出会った Philip Arthur Moore さんのことや、世界で活躍する人たちにコミュニティーって何?って聞いてみたときのことなんかが書かれています。
一番恥ずかしいのがこちらの「WordCampTokyoの運営もオープンソースにする – Shinichi Nishikawa’s」です。もうタイトルから恥ずかしいのですが、初めてWordCamp Tokyoの会場かかりをやらせてもらった感想文です。みんなこういうところから始めるわけですね。
まだまだ読めるよ!という方は、WordCamp 男木島 2018 みんなのブログまとめで、参加者、スタッフ、子どもたちのブログ記事を読むことができます。また、カーリルのふじたさんがまとめてくれた(ありがとうございます!) #wcogijima がついたツイートのまとめも面白いですよ!
では、以上です。またの機会にお会いしましょう!